【動画で見る、令和2年度診療報酬改定のポイント】③地域包括ケアシステムの推進
2020/03/19 会員限定
ICU、回復期リハ、在宅でも管理栄養士は必須に
管理栄養士の同職種連携も重要
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Ⅲの「医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムの推進」では、特定集中治療室、回復期リハビリテーション病棟、在宅の現場で新たに求められる管理栄養士の関わりについて、増田課長補佐から説明がありました。
特定集中治療室における栄養管理では、日本版重症患者の栄養療法ガイドラインにおいて、ICU入室24〜48時間以内に経腸栄養を実施することが推奨されています。これに基づいて、早期経腸栄養プロトコールを用いて48時間以内に管理栄養士が介入し経腸栄養を開始することによって死亡率が有意に低下し、平均在ICU日数、平均在院日数ともに有意に減少したという結果を示した論文が中医協に示されました。
こうした報告により、「早期栄養介入管理加算」(400点)が新設されました。施設基準として、栄養サポートチームでの栄養管理の経験3年以上かつ、特定集中治療室における栄養管理の経験3年以上を満たす管理栄養士が専任で配置されている必要があり、この分野においても専門性の高い管理栄養士が求められています。
また、回復期リハビリテーション病棟では、入院料の施設基準が見直され、管理栄養士についてもより充実した配置による栄養管理が必要とされています。前回の改定で、入院料1では努力義務だった専任の常勤管理栄養士の配置は"努力"が取れて必須となり、これまでなかった入院料2〜6においても専任の管理栄養士1名以上が配置されることが望ましい、という規定が明記されました。
一方、在宅の場面では、「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」では、在宅での褥瘡管理を実施している保険医療機関の管理栄養士が在宅褥瘡チームに参画する必要があったのが、他の保険医療機関等の管理栄養士が関わることも可能となりました。これにより、栄養ケア・ステーション等に所属する管理栄養士が在宅に関わりやすくなったと言えます。
そして、医療と在宅、あるいは医療と介護の場をつなぐ地域包括ケアシステムを推進する目的で、「栄養情報提供加算」(50点)が新設されました。
日本栄養士会が平成30年度に実施した「全国病院栄養部門実態調査」では、患者が退院・転院する際に、栄養情報提供書を作成している病院は約3割で、その提供先は病院・介護老人保健施設等が約8割、かかりつけ医は約2割でした。情報提供をしている内容は摂食嚥下機能低下、低栄養、経管栄養、生活習慣病の栄養管理に関するものが多くなっています。また、こうした栄養情報提供書を提供している場合と、提供していない場合を比較すると、提供している場合において受け取った側の病院・施設の管理栄養士が栄養管理計画や栄養ケアプランを作成する際にかかる時間が有意に減少しているという報告が、日本栄養士会雑誌に掲載されています。これらのエビデンスを受けて、今回の「栄養情報提供加算」は新設され、退院後も栄養管理に留意が必要な患者については、積極的に栄養情報を提供することが求められます。
須永常任委員は、「管理栄養士はこれまで多職種連携に力を入れてきましが、今後は管理栄養士同士の"同職種連携"も強めていく必要がありますね。入院中に行っている栄養管理を文書で退院先に渡すということは、栄養管理がその後も続いていくように記載する必要があります。提供書の様式は今回、厚労省から示されていませんが、先駆的に取り組んでいる病院から事例を集めて、会員の皆さんにお示ししたいと思います」と、医療事業推進委員の立場から述べました。 なお、情報提供先は医療機関や高齢者施設に限らず、指定障害者支援施設等、福祉型障害児入所施設も含まれます。
地域包括ケアシステムの推進にあたっては外来栄養食事指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料の2つも見直しが行われ、「外来栄養食事指導料2」、「在宅患者訪問栄養食事指導料2」が追加されました。これらを算定するには、診療所に雇用されている管理栄養士である必要がなく、日本栄養士会か都道府県栄養士会が設置・運営している「栄養ケア・ステーション」又は他の医療機関の管理栄養士が実施した場合に算定できます。これにより、各地域での診療所と栄養ケア・ステーションの連携が進み、診療所における栄養指導が充実していくことが期待されます。
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令和2年度診療報酬改定に関する問い合わせ
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関連ページ
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